「フハハハ、よく来たな!」
悪の組織といえば、一度は言ってみたいこのセリフ。
そして、もうひとつ。 「○○は四天王の中でも“最弱”」
これも言いたい。
どうしても言いたい。
――だったら、それを言えるマーダーミステリーを作ればいい。
そんな発想から生まれたのが、マーダーミステリー『フハハハ、よく来たな――って、首領が死んでる!』です。
正義の味方・レンジャーの襲来を目前に控えた悪の組織。
ところが、いざ迎え撃とうとしたそのとき――肝心の首領が死んでいる。
犯人を探さなければならない。
次の首領も決めなければならない。
そのうえ、レンジャーまでやってくる。
一見すると全力でふざけた作品です。
でも、遊んでいるうちに、事件のこと、仲間のこと、次の首領のこと――気づけばいろいろ考えている。
今回は本作の作者に、なぜこんなマーダーミステリーを作ったのか、そして実際に遊ぶとどんな時間が待っているのかを聞きました。
すべての始まりは「四天王最弱」を言いたかったから
――まず、一番聞きたいところから聞かせてください。どうしてこの作品を作ろうと思ったんですか?
作者: ものすごく単純です。
「フハハハ、よく来たな!」
って言いたかったんですよ(笑)。
あと、
「やつは四天王の中でも“最弱”」
も言いたかった。
――そこなんですね(笑)。
作者: そこです。
悪の組織とか四天王って、みんな知っている“お約束”がいっぱいあるじゃないですか。
首領がいて、四天王がいて、正義の戦隊がいる。
悪役なのに名乗りには妙にこだわるし、敵が来たら「よく来たな!」って迎える。
そういうベタな悪の組織を、プレイヤー自身が本気でやったら絶対面白いと思ったんです。
だったら、そのセリフが自然に飛び出すマーダーミステリーを作ろう。
そこがスタートでした。
「フハハハ、よく来たな!」――って、首領(ドン)が死んでる
――タイトルの時点で、すでに大変なことになっていますよね。
作者: はい(笑)。
これからレンジャーが攻めてくる。
本来なら首領が前に立って、
「フハハハ、よく来たな! レンジャーども!」
ってやらなきゃいけない。
なのに、その首領が死んでる。
――最悪ですね。
作者: 最悪です(笑)。
しかも、このゲームでやらなきゃいけないことは犯人探しだけじゃないんです。
事件を調べる。
次の首領を決める。
レンジャー襲来にも備える。
しかも悪の組織なので、当然それぞれに思惑があります。
「殺人事件が起きているのに、今それも考えるの?」
ということを、みんな大真面目に考えないといけない。
そこが、この作品らしいところですね。
世界観から作ったら、駆け引きまで勝手についてきた
――実際に遊ぶと、いろいろな要素がうまく噛み合っていますよね。最初から全部システムとして設計していたんですか?
作者: いや、最初からシステムを組み立てていったわけではないんです。
まず世界観を重視して、そこからプレイヤーキャラクターそれぞれのストーリーを作っていったら、自然とこうなりました。
――でも、それってかなり考えて作っているように聞こえますけど(笑)。本当に「頭を空っぽにして」作ったんですか?
作者: いやぁ、勝手にキャラクターが動くんですよ。
だから、私がそんなに頭を働かせる必要がなかったのかもしれません(笑)。
「頭を空っぽにして作った」というより、のびのびと勢いで作ったという方が適切なのかな。
――なるほど。先にシステムがあったというより、世界観とキャラクターを追いかけていったら、「この人ならこう動く」「この状況ならこういう駆け引きが起こる」というものが、そのままゲームの仕組みになっていった。
作者: そうですね。結果的に、いろんな要素がうまく噛み合ったんだと思います。
その結果生まれたのが、「フハハポイント」をはじめとする本作独自の仕組みです。
――この作品、設定はかなりバカバカしいですよね。「フハハポイント」とか、名前だけ聞くとだいぶ頭悪そうです(笑)。
作者: そうですね(笑)。自分でもそう思います。
――でも実際に遊んでみると、意外といろいろしっかり作りこまれてますよね。
作者: そうなんですよ。犯人だけを考えていればいいゲームではないので。
事件について推理しながら、手元の情報を公開するかどうかも考える。さらに、誰を次の首領にするのか、レンジャーをどう迎え撃つのかも考えないといけない。
たとえば、情報は公開したほうが組織全体にとって有利になる。でも、そのカードを公開すると自分にとって不利になるかもしれない。
あるいは、首領にしたくない相手にフハハポイントを渡すことになるかもしれない。
――「公開したい。でも、公開したくない」という状況が起きるんですね。
作者: そうですね。そういうジレンマは結構意識して作っています。
――推理がものすごく難しい、というより、「どうする?」と判断することが多い。
作者: まさにそんな感じです。
遊んでいる最中は、そんなに難しいことをしている感覚はないと思うんです。
キャラクターとして話して、笑って、誰を信用するか考えていたら、いつの間にかいろんなことを考えている。
――だからこの作品、ものすごく雑な言い方をすると……「頭悪そうな顔をして、結構頭を使わせてくるゲーム」なんですよね。 作者: それ、いいですね(笑)。
そして、その駆け引きは最後まで続きます。
テストプレイでは、「この人を推している」と言っていた人が、実際には別の人へポイントを託したこともあったそうです。
それが判明した瞬間、二人が頭を抱えて、周りが大爆笑。 作者: 見ていて、「これだよ、これがやりたかったんだよ」と思いましたね。
犯人が分かったら終わりじゃない。
最後まで「この悪の組織をどうするのか」が残っているんです。
初心者はキャラクターから。経験者は駆け引きまで楽しめる
――マーダーミステリー初心者だと、「どうロールプレイすればいいんだろう」と迷うこともあります。
作者: そうなんですよね。
だから本作は、推理に慣れていなくてもキャラクターに入りやすい作品にしたかったんです。
登場人物がかなり分かりやすいんです。
筋肉で解決する四天王がいたり、危険な天才科学者がいたり、悪の組織なのに家事全般を仕切っている「おばちゃん」がいたり。
キャラクターを見た時点で、「この人ならこう喋りそう」が想像しやすい。
実際、テストプレイでも、かなり早い段階からみんなキャラクター名で呼び合っていました。
初心者の方が重要な役割を担当した回もありましたが、「やりやすかった」と言ってもらえました。
――では、初心者向けのライトなマーダーミステリーなのでしょうか?
作者: そこはちょっと違います。
入り口はかなり入りやすいと思います。
でも、ゲームとしてはちゃんと考えることがあります。
情報を公開するのか。
持っておくのか。
誰かに渡すのか。
自分が首領を目指すのか。
誰かを推すのか。
その判断が、事件の捜査とは別のところでもずっと動いています。
だから、推理に慣れていなくてもキャラクターに入りやすい。一方で、独自の駆け引きもしっかりあるので、経験者にも楽しんでもらえる。
そこは、この作品のかなり大きな特徴だと思っています。
実際、テストプレイでは初心者から「キャラクターがやりやすかった」という声があった一方、マーダーミステリーを数多く遊んできたプレイヤーからも、システムやバランスについて好意的な反応がありました。 「忙しいけれど、その忙しさが楽しい」 「キャラクターになりきって困ることができるのがいい」 「完成度が高いだけでなく、これまでのマダミスで一番笑った」「めちゃくちゃ楽しかった」
そんな感想も寄せられています。
笑える。でも、「ずっとギャグ」では終わらない
――タイトルを見ると、かなりコメディ寄りに見えます。
作者: もちろん笑ってほしいです。
実際、テストプレイでもかなり笑っています。
でも、「ずっとギャグをやって終わり」という作品でもありません。
遊んでいくうちに、それぞれのキャラクターがこの組織をどう思っているのかが見えてくる。
最初は「四天王最弱(笑)」みたいに扱われていた存在にも、そのキャラクターなりの思いがある。
テストプレイでも、途中からかなり感情移入してくれて。
最後には「みんなでこの組織を守ろう」という空気になった卓もありました。
――笑っていたのに、気づいたらちゃんと物語に入っている。
作者: そうですね。
テストプレイヤーからも、
「キャラクターがすごく立っていた」
「没入感があった」
「最後までどう動けばいいか方針がブレにくくて遊びやすかった」
という感想をもらっています。
「ストーリーがあって笑える作品って、意外とあまりない」
という感想も印象に残っています。
そして本作では、推理や会話だけではない、実際にその場で遊んでいるからこそ生まれる驚きも大切にしています。
テストプレイでは、マーダーミステリーを数多く遊んできたプレイヤーからも、思わず「すごい!」と声が上がる場面がありました。
何が起こるのかは、ここでは書けません。 ぜひ、遊んで確かめてください。
前作とは真逆? 約2週間で生まれた作品
――ちなみに、本作はかなり短期間で作ったそうですね。
作者: だいたい2週間くらいですね。
――早い。
作者: 前作の『幽界航路神在クルーズ』は、かなり思考密度が濃い状態で作ったんです。
それに対して今回は、かなりのびのびと勢いで作っています(笑)。
――「2週間で作った」と聞くと、少し不安になる人もいるかもしれません。
作者: でも、自分の中では手を抜いた感覚は全然ないんですよ。
むしろ今回は、「これが面白い」という核が最初からすごくはっきりしていた。
「悪の組織をやりたい」
「四天王最弱を言いたい」
「犯人を探しながら次のリーダーも決めたい」
そこが最初から決まっていたので、一気に形になった感じです。
前作でいろいろ考えて作った経験があったからこそ、今回は迷わず進められた部分もあると思います。
どんな人に遊んでほしい?
――最後に、どんな方に手に取ってほしい作品ですか?
作者: まず、
「フハハハ、よく来たな!」
を言いたい人。
「○○は四天王の中でも最弱」
を言いたい人。
そういう人にはぜひ来てほしいです(笑)。
でも、それだけじゃなくて、
キャラクターになりきって遊ぶのが好きな人。
みんなでワイワイ話したい人。
推理だけではなく、ゲームとしての駆け引きも楽しみたい人。
マーダーミステリーに興味はあるけれど、「推理が難しそう」と少し不安に感じている人。
逆に、いろいろなマーダーミステリーを遊んできて、「ちょっと変わったものも遊びたい」と思っている人。
そういう方には、かなり楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています。
――初心者でも入りやすく、経験者にもちゃんとゲームがある。
作者: そうですね。
そして何より、
みんなで悪の組織をやって、笑ってほしい。
それが一番です。
次はどんな悪の組織が誕生するのか
『フハハハ、よく来たな――って、首領が死んでる!』は、ゲームマーケット2026秋で頒布予定です。
果たしてどんな悪の組織が誕生するのか。
そして、その中から何人の新たな「フハハ担当」が生まれるのか。
悪の組織に入りたい皆さん。
ゲームマーケットの会場で、お待ちしています。
フハハハ、よく来たな!
――って、首領が死んでる!











